トラッキングとは、絶縁物等の表面に導電路が形成される現象です。
絶縁物の表面に塵埃や塩分等が付着することによって起こります。
トラッキングによる事故に至る過程は以下のとおりです。
1.絶縁物に塵埃などの汚損物質が付着する。
2.大気中水分を汚損物質が吸湿する。
3.絶縁物表面の絶縁抵抗が低下する。
4.絶縁物表面に微小漏電電流が流れる
5.微小漏電電流のジュール熱によって発熱する。
6.汚損物質の吸湿部に乾燥帯が発生する。
7.乾燥帯に微小放電が発生する。
8.汚損物質が炭化し、導電路を形成する。
9.地絡・短絡に進展する。
受変電設備等の碍子部分等絶縁部は、定期的な清掃が必要です。汚損が進むと絶縁抵抗が低下します。特に雨天等、湿度が高いと汚損物質の吸湿も多くなるため、絶縁抵抗が著しく低下します。
絶縁抵抗が低下した状態で使用し続けると地絡や短絡が発生し、碍子等の絶縁部が破壊されることもあります。
トラッキングは、碍子等の高圧充電部のみに起こるわけではありません。身近なところでは一般家庭のコンセントでも発生します。
タンスの裏などで、普段抜き差ししないコンセントがあると、埃が堆積しトラッキングが発生しやすい状況になります。
炭化が進むと発火し火災につながることも多々ありますので、定期的にコンセントを点検・清掃することをおすすめします。