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統合接地

接地を共有する

統合接地とは、A種からD種の接地を1つにまとめた接地方式です。
従来の方式は、高圧機器及び避雷針はA種、変圧器の中性点接地はB種、300V超過の負荷の接地はC種、300V以下の負荷の接地はD種というように、接地の目的に合わせて接地をA種からD種に分け、それぞれの接地極を個別に埋設しています。これを単独接地といいます。
建物の避雷針は通常建物の構造である鉄骨に接続され、避雷針に落雷が発生すると避雷針から鉄骨を経由して大地に雷電流が流れます。この雷電流はA種接地から地球に流れていきますが、A種接地に近いところは電位が高く、遠いところは電位が低いため、他の接地極間に電位差がかかることになります。雷電流は電位の高いところから低いところに流れていくため、異なる接地系統間を雷電流が流れることになります。
図1

この雷電流は、電気機器の半導体素子など高電圧に弱いものを破壊するため、落雷があるとさまざまな機器の異常が起こることがあります。
この問題は、統合接地方式にすることで解決することができます。
統合接地ではA種からD種の接地を一つにまとめ、さらに建物の鉄骨と電気的に接続しています。落雷があると鉄骨の電位が上がりますが、鉄骨と電気的に接続されている接地系統も同じように電圧が上がり、2次側が接地されている変圧器の負荷側電路も電圧が上がります。結果的に建物全体の鉄骨と電路の電位が上昇するため、電位差が発生しにくくなり電気機器の破損を防止することができます。
図2

統合接地を採用するための条件

統合接地を採用するためには、接地抵抗を2Ω以下にしなければなりません。
電技解釈第18条第2項
3 大地との間の電気抵抗値が2Ω以下の値を保っている建物の鉄骨その他の金属体は,これを非接地式高圧電路に施設する機械器具の鉄台若しくは金属製外箱に施すA種接地工事又は非接地式高圧電路と低圧電路を結合する変圧器の低圧電路に施すB種接地工事の接地極に使用することができる。

統合接地のデメリット

単独接地は地絡が発生すると、B種の接地抵抗とC種やD種の接地抵抗により地絡電流が制限されます。統合接地は、変圧器2次側のB種接地と機器接地のC種及びD種接地が電気的に接続されているため、状況によっては地絡が発生すると地絡電流が大きくなります。
この大きな地絡電流でブレーカーがトリップすることもあり、その場合は変圧器2次側の接地線に制限抵抗を挿入することで、地絡電流を制限し対応します。
図3

雷の侵入経路は避雷針だけではない

雷は避雷針だけではありません。例えばテレビアンテナ、ケーブルテレビ、電話など、建物に引き込まれている電線すべてが雷電流の侵入経路となる可能性があります。したがって、電力の接地だけではなく、建物全体で等電位化を図る必要があります。


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