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火力発電の仕組み

燃料のエネルギーを利用

火力発電所の種類

火力発電所は燃料を燃焼させて発電しています。エネルギーの変換方法によって汽力発電内燃力発電ガスタービン発電に分類されます。

汽力発電

汽力発電は燃料を燃焼し蒸気を発生させ、その蒸気でタービンを回転させて発電します。
図1

図1は汽力発電の系統図です。
燃料はボイラで燃焼し、水を蒸気にします。その蒸気を蒸気タービンに導きタービンを回転させ、タービンに接続された発電機を回転させ発電します。
タービンを通った蒸気は復水器で冷却されて水になり、再度ボイラに戻ります。

内燃力発電

内燃力発電はディーゼルエンジンなどの内燃機関を使用して、エンジンに接続された発電機を回転させ発電します。

ガスタービン発電

ガスタービン発電は燃料が燃焼するときに発生するガスでタービンを回転させて発電します。
図2
ガスタービン発電
図2はガスタービン発電機です。空気圧縮機とガスタービンが軸で接続されており、空気圧縮機で圧縮した空気を燃焼室に送り込み、その圧縮空気中で燃料を燃焼させて高温高圧の燃焼ガスを作ります。そして燃焼ガスでガスタービンを回転させ、タービンに接続された発電機を回転させて発電します。
ガスタービン発電は発電出力を0〜100%まで幅広く変化させることができます。また、ディーゼルエンジンに比べ振動が少ないという特徴があります。
ガスタービン発電は、排気ガスの温度が500℃を超え高温になるため、停止直後のガスタービン発電機はタービンやタービンのケーシング(車室)も高温状態になります。そのため、停止後そのままにしておくと、熱の対流によってタービンやケーシングの下のほうが早く冷えて、上のほうは高温のままになるため、不均一に冷却される状態になります。すると、タービンが湾曲しケーシング内面に接触するトラブルが起きることがあるため、運転直後は軸に接続されたモーターで、タービンを2〜3rpm程度の低速回転をさせるようになっています。これをターニングといいます。

火力発電の燃料

火力発電に使用する燃料は、石油・石炭・液化天然ガスなどがあります。また廃棄物を燃料とする場合もあります。

大気汚染物質

排気ガス中の硫黄酸化物と窒素酸化物

火力発電所で燃料を燃焼させると大気汚染物質が発生します。大気汚染物質の主なものは、ばいじん硫黄酸化物窒素酸化物です。

ばいじん

燃料の灰分から発生します。排ガスを電気集塵装置や機械集塵装置に通し、除去されます。

硫黄酸化物(SOx=ソックス)

燃料中の硫黄分が燃焼により酸素と反応して発生します。排ガスから除去には排煙脱硫装置を用い、活性炭などで吸着除去し副生品として硫黄や硫酸を回収する乾式法、石灰石や水酸化マグネシウムの水溶液で排ガス中の硫黄酸化物を吸収除去し、副生品として石膏を回収する湿式法等があります。

窒素酸化物(NOx=ノックス)

燃料中及び燃焼空気中の窒素が燃焼により酸素と反応して発生します。燃料中の窒素による窒素酸化物をフューエルNOx、空気中の窒素による窒素酸化物をサーマルNOxといいます。排ガスから除去には排煙脱硝装置を用い、排ガス中にアンモニアを注入して触媒により窒素と酸素に分解する還元法、アルカリ吸収液に排ガス中の窒素酸化物を吸収除去しする湿式法等があります。

蒸気のエネルギー

エンタルピー

高温・高圧の蒸気は、分子が持つ内部エネルギーと、圧力により外部に作用する外部エネルギーがあります。この内部エネルギーと外部エネルギーの和をエンタルピーといいます。単位は[J/kg]です。
蒸気のエンタルピーが大きいほどたくさんの仕事をしますので、エネルギーが大きいことになります。

コージェネレーション

ガスタービンの排気を熱供給に利用

火力発電所の排熱を利用して熱エネルギーを供給するシステムをコージェネレーション(略してコージェネ)といいます。
図3

図3はコージェネレーションの系統図です。コージェネは熱電併給ができる理想的なシステムではありますが、電気需要と熱需要の時間帯が一致しないことが多く、入念な計画のもとに導入しないと省エネ&省コストにつながらない場合があります。しかし、需要にあった最適なシステムを導入すれば70%近い総合エネルギー効率が期待できるシステムです。

コンバインドサイクル発電

ガスタービンと蒸気タービンを併設

コンバインドサイクル発電はガスタービン発電の排熱を利用して蒸気を発生させて、その蒸気で蒸気タービンを回転させる発電方式です。
図4
コンバインドサイクル発電
図4はコンバインドサイクル発電の系統図です。
コンバインドサイクル発電はエネルギー効率が高く、環境負荷が比較的低い発電方式です。ガスタービンと蒸気タービンを同軸に設置した一軸型と、複数のガスタービンと1台の蒸気タービンをそれぞれ別置した多軸型があります。

排熱回収方式と排気再燃方式

排熱回収方式は、ガスタービンの排熱をボイラに導入し、その排熱によって蒸気を発生させます。コンバインドサイクル発電の中では、もっとも高効率となります。
排気再燃方式は、ガスタービンの排気に残留している酸素を利用するため、排気をボイラの燃焼用空気として利用します。

火力発電の特徴

火力発電は、使用する蒸気を高温化・高圧化すればするほど効率が高くなります。そして、大容量な発電所ほどkWあたりの建設費が低減します。
また、ボイラーやタービンなど高温部の熱応力の制約上、出力調整に時間がかかるという特徴があります。


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