昨今の日本では、停電は少ないです。しかしひとたび停電が発生すると、いろいろな影響が出てきます。
停電の発生原因のトップは、高圧配電線の地絡や短絡によるもので、全体の約80%をしめています。地絡は電線への落雷で、短絡は鳥獣や樹木接触、カラスの営巣、工事車両の電線接触などが主な原因です。このような事故が起きると電力会社の遮断器がトリップして停電します。
次に多いのが送電線の地絡や短絡によるものです。送電線も落雷やカラスの営巣による事故が多くなっています。送電線が停電すると配電線の停電より停電範囲が広くなります。
配電線も送電線も、事故発生後遮断器を開放して停電した後、すぐに再送電できることがほとんどです。これはアークを伴う地絡・短絡は一度停電すると事故除去され、鳥獣や樹木の接触も瞬間的な場合が多いためです。そのため、配電線や送電線は地絡・短絡発生後、強制的に再送電する再閉路を行います。こうして短時間の停電で復電を行っているのです。再閉路するまでの時間は、電圧が高い基幹系統ほど早く再閉路し、広範囲の長時間停電を防止しています。
停電すると多大な影響を受ける負荷は多々あります。多数の人がアクセスするサーバーや病院の機器、エレベーターや金融機関のコンピューターなどは、停電が混乱や被害を招く恐れがあります。
こういった重要負荷は停電を防ぐための非常電源設備を設置する必要があります。
非常電源には非常用発電機や無停電電源装置などがあります。
非常用発電機は停電を検知すると自動的に起動し、建物内の重要負荷に電力を供給します。一定規模以上の建物は防災の関係上、法的に設置が定められています。
また無停電電源装置はUPSとも呼ばれ、平常時にバッテリーに電力を蓄え、停電時にバッテリーに蓄えられた電力を交流に変換し重要負荷に電力を供給します。最近では、停電発生から無停電でバッテリーに切り替えるタイプや、パソコンのプラグとコンセントの間に設置する小型のタイプもあります。