磁力線とは、実在はしないのですが、磁気の力を視覚的に表現することで、磁界の様子をわかりやすくしてくれるものです。図2は正磁荷のまわりの磁力線の様子です。
図2
正磁荷からは磁力線が出ていて、負磁荷には磁力線が入っていると考えます。
+1[Wb]の正磁荷からは1/μ[本]の磁力線が出ますので、+m[本]の正磁荷からはm[本]の磁力線が出ています。
ここで出てくるμは透磁率といい、物質の磁荷のたまりやすさを表す数値で、物質によって値が異なります。例えば
真空の透磁率μ0=4π×10-7
鉄 約0.25
水 約-8×10-6
となります。
図3は負磁荷のまわりの磁力線の様子です。
図3
-1[Wb]の負磁荷には1/μ[本]の磁力線が入りますので、-m[Wb]の負磁荷にはm/μ[本]の磁力線が入っています。
正磁荷と負磁荷があると、磁力線は図3のようになります。
図3
磁力線は下記のような特徴があります。
磁束とは、磁力線と同様のもので、実在はしません。
磁束と磁力線で異なるのは、下記の点です。
磁力線の単位は[本]ですが、磁束の単位は磁荷と同じウェーバー[Wb]を用います。
この単位だといまいちわかりにくいので、ウェーバー[Wb]をたば[束]に置き換えて考えるとわかりやすいです。
磁力線の本数は透磁率μによって変化しますが、磁束は透磁率μの影響を受けません。
したがって、異なる透磁率の物質の境界を通過する場合、磁力線は増減しますが、磁束は増減しません。
つまり、磁力線をμ[本]束ねたものが磁束となります。