瞬時電圧低下とは電圧が瞬間的に低下する現象で、略して瞬低と呼ばれます。
瞬低の基準は特に定められていませんが、
「送電線等の事故除去のため2秒程度以下の短い時間、電圧が通常の90%程度以下に低下した場合」
を瞬低と呼んでいます。
瞬低を瞬停(瞬間停電)と表記されていることがありますが、正しくは電圧が途絶えたのち1分程度以内に電圧が回復することを短時間停電、電圧が途絶えることを停電といいます。
瞬低の主な原因は落雷や雪害など気象によるものです。
送電線に落雷すると、送電線に高電圧が発生します。送電線と鉄塔の間は平常時は碍子で絶縁されていますが、この高電圧により絶縁が保てなくなり送電線から鉄塔に大きな電流が流れ地絡となります。これを閃絡やフラッシオーバーといいます。この大きな電流により送電線で電圧降下が発生し、末端の電圧が低下します。
閃絡が発生すると、送電線の保護継電器が送電線故障を検出、動作し送電線の送電端と受電端の遮断器を開き故障している部分を電力系統から切り離し、健全な回線からの送電を継続します。故障している部分が電力系統から切り離されると、電圧は回復します。この閃絡発生してから故障送電線の切り離しまでの故障除去にかかる時間は0.07秒〜0.2秒程度です。送電線が上位になればなるほど広範囲に電力を送電していますので、故障除去時間が短くなるよう配慮されています。
故障を検出してから故障除去するというメカニズムなので、故障除去時間を0にすることは不可能です。よってできるだけ短い時間で故障除去し、電圧が低下する時間を短くしています。しかし負荷機器のなかには、0.07秒以下のの瞬時電圧低下でも停止してしまう機器があります。こういった瞬低に敏感な機器は負荷機器側で対策を取らざるを得ません。
パソコン、サーバーなどのOA機器は瞬低により誤動作したり停止したりします。
これには無停電電源装置(UPS)を使用すれば対策できます。
UPSは、常時は負荷に電源を供給しながら内蔵バッテリーを充電し、停電時は内蔵バッテリーより負荷に電源供給する装置です。
電磁開閉器は瞬低により開放してしまうことがあります。これは遅延釈放型電磁開閉器を使用することにより対策できます。
水銀灯は瞬低により放電がとまると、再度放電を開始するまで時間がかかります、これは瞬時再点灯型水銀灯を使用することにより対策できます。