電気主任技術者・電気工事士・エネルギー管理士・技術士等の資格試験と電気技術情報サイト

電力デマンド

電力デマンドとは?

一般の住宅では、電気を使いすぎると分電盤の大元のブレーカーが落ちて、停電になります。このブレーカーは電流制限器、アンペアブレーカー、リミッターなどと呼ばれ、その容量に応じて基本料金を支払う仕組みになっています。
一般住宅と違って、高圧以上で受電するビルで電気を使いすぎた時に大元のブレーカーが落ちると、ビル全体が停電してしまうことになります。照明が消え、空調が止まるだけではなく、エレベーターに閉じ込められるなど、大きな影響があります。そこで、規模が大きい需要家には電力のデマンド値で管理しています。

デマンド値とは

電力のデマンド値とは最大需要電力ともいい、一定期間における電力の最大値を指します。一般住宅は電流制限器の電流容量の値[A]に応じて基本料金を支払っていますが、高圧以上で受電する需要家は契約電力[kW]に応じて基本料金を支払います。需要家はデマンド値が契約電力以下になるようにしなければなりません。
契約電力やデマンド値は瞬間の電力の値ではなく30分間の平均値を取るため、30分間に使用した電力量[kWh]と等しくなります。

デマンド値が契約電力を超えた場合

デマンド値が契約電力を超えることをデマンドオーバーといいます。デマンドオーバーが発生すると、その需要家の契約電力に応じてペナルティが発生します。

高圧受電500kW未満の需要家

過去1年間(当月を含む)のデマンド電力の最大値が契約電力となります。したがって、過去1年間のデマンド電力の最大値を更新すると、その後1年間の契約電力はその最大値が適用されます。

高圧受電500kW以上の需要家

契約者と電力会社との協議により契約電力が決められます。大抵、過去 1年間の最大需要電力をもとに契約電力が決定されます。デマンド電力が契約電力を超えると、超過した電力に応じて違約金を支払う必要があります。また、超過したデマンド電力をもとに、新たに契約電力変更の協議が行なわれることになります。

契約電力を超えないためには

デマンド値が契約電力を超えないためには、下記のような方法があります。

負荷平準化

複数の負荷を同時に使用すると、デマンド値が大きくなります。そのため、同時に使用することを避け、バラバラに使用することでデマンド値を下げることができます。

ピークカット

デマンド値が高くなる時間帯に、停止しても支障がない機器を停止してデマンド値を下げることをピークカットといいます。手動で負荷を停止してもピークカットを行うことは可能ですが、デマンド値が高くなりそうになったら自動的に順番に負荷を停止していく装置もあります。これをデマンド制御装置といいます。
デマンド制御装置は、30分周期のはじめの一定時間で30分後のデマンド値を予測し、デマンド予測値が契約電力を超過する場合は、あらかじめ設定した順序で順番に負荷を停止していきます。
たとえば、30分周期のはじめの10分間で100[kWh]を使用した場合、30分周期の終了時は、300[kWh]を使用していることが予測できます。
30分間に300[kWh]を使用していると、デマンド値は
300 × 2 = 600[kW]
となります。
契約電力が500[kW]の需要家で、デマンド値が600[kW]になると100[kW]のデマンドオーバーになりますので、30分周期の終了時のデマンド予測値が250[kW]以上になるという予測が立った時点で、負荷を停止する必要があります。
30分周期のはじめの10分間が経過した時点で、30分周期終了時のデマンド予測値が300[kW]であれば、残りの20分間で
300[kWh] − 250[kWh] = 50[kWh]
を削減しなければなりません。
20分間で50[kWh]を使用する負荷は、
50[kWh] × 60[分]/20[分] = 150[kW]
の負荷になりますので、あらかじめ設定した順序で150[kW]以上の負荷をを停止させピークカットを行います。
負荷停止後にデマンド予測値が契約電力を大きく下回る場合は、停止した負荷を再度起動させます。
デマンド制御装置は予測に基づき動作するため、負荷の急変により予測を外れることがあるため、多少裕度をもって設定します。


TOPページに戻る
サイト内検索
電気の基礎
電気とはなにか
電気の歴史
電荷
電気力線と電束
原子と分子と電子
電気の回路と水の回路
電流とは
電圧とは
抵抗とは
電力と電力量
直列・並列接続の合成抵抗
分圧と分流
直流と交流
正弦波交流
抵抗・リアクタンス・インピーダンス
電界と磁界
磁荷
磁力線と磁束
磁気ヒステリシス
コイルとインダクタンス
コンデンサと静電容量
共振
力率と皮相・有効・無効電力
3相交流
ベクトル図の使い方
電線にとまった鳥が感電しない理由
需要率と負荷率と不等率
パーセントインピーダンス法(%Z)
ホイートストンブリッジ
スターデルタ変換・デルタスター変換
電圧降下
過渡現象
過渡現象(R-L直列回路)
過渡現象(R-C直列回路)
発電・送配電・受変電
原子力発電の仕組み
水力発電の仕組み
火力発電の仕組み
太陽光発電の仕組み
関東と関西で周波数が違う理由
なぜ交流送電なの?
停電
瞬時電圧低下
受電方式
スポットネットワーク受電方式の仕組み
進相コンデンサと力率割引
遮断器と開閉器と断路器
開閉サージ
GIS(ガス絶縁開閉装置)
保護継電器
変圧器(トランス)
励磁突入電流
接地(アース)
統合接地
接地用補償コンデンサ
電源冗長化
フェランチ効果
電気設備・機器
交流の電気方式
変流器
漏電と漏電遮断器
誘導電動機の始動法
インバーターの仕組み
ケーブル・絶縁電線・コードの違い
蛍光灯
エアコンの仕組み
直流電動機(直流モーター)
誘導電動機
指示計器
電磁開閉器(マグネットスイッチ)
短絡(ショート)
ヒューズ
リレー(継電器)
メインテインとモーメンタリ
スイッチ(片切・両切・3路・4路)
トラッキング
電力デマンド
渦電流
表皮効果
高調波
放電
無停電電源装置(UPS)
電気トリー・水トリー・化学トリー
電気設備保守
絶縁抵抗測定
接地抵抗測定
耐電圧試験
漏電電流の回り込み
法則・定理
オームの法則
クーロンの法則
キルヒホッフの法則
ファラデーの法則・レンツの法則
フレミングの法則
ミルマンの定理
テブナンの定理
ガウスの定理
重ね合わせの理
アンペア周回積分の法則
ビオ・サバールの法則
公式・略号
電気公式集
数学公式集
電気設備略号辞典
制御器具番号
数学
分数
指数
因数分解と展開
方程式
比例と反比例
三角関数
度数法と弧度法
虚数
電気系資格
電気主任技術者とは?
エネルギー管理士とは?
技術士とは?
技術士総合技術監理部門とは?
資格試験対策
電気主任技術者試験2次試験対策
技術士2次試験対策(筆記試験)
技術士2次試験対策(技術的体験論文)
技術士2次試験対策(口頭試験)1
技術士2次試験対策(口頭試験)2
試験勉強法
資格試験過去問題
第3種電気主任技術者 理論
第3種電気主任技術者 電力
第3種電気主任技術者 機械
第3種電気主任技術者 法規
第2種電気主任技術者 1次理論
第1種電気主任技術者 1次理論
第1種電気主任技術者 1次電力
第1種電気主任技術者 1次機械
第1種電気主任技術者 1次法規
第1種電気主任技術者2次試験 電力・管理
第1種電気主任技術者2次試験 機械・制御
エネルギー管理士(電気) 電気の基礎
技術士一次試験 共通科目数学
技術士一次試験 共通科目物理
技術士一次試験 共通科目化学
技術士一次試験 基礎科目
技術士一次試験 電気電子部門 専門科目
技術士一次試験 適性科目
技術士二次筆記試験 電気電子部門 必須科目
技術士二次筆記試験 電気電子部門 選択科目 発送配変電
技術士二次筆記試験 電気電子部門 選択科目 電気応用
技術士二次筆記試験 電気電子部門 選択科目 電子応用
技術士二次筆記試験 電気電子部門 選択科目 情報通信
技術士二次筆記試験 電気電子部門 選択科目 電気設備
技術士二次筆記試験 総合技術監理部門 必須課目
資格取得体験記
第3種電気主任技術者(電験3種)
第2種電気主任技術者(電験2種)
第1種電気主任技術者(電験1種)
技術士1次試験(電気電子部門)
技術士2次試験(電気電子部門)筆記試験
技術士2次試験(電気電子部門)口頭試験
技術士2次試験(総合技術監理部門)筆記試験
技術士2次試験(総合技術監理部門)口頭試験
建築設備士第1次試験
建築設備士第2次試験
エネルギー管理士(電気)
エネルギー管理士(新制度)
第2種電気工事士
電気☆入門について
当ウェブサイトご利用にあたって
管理人自己紹介
管理人へメール

Copyright (C) DENKIMAN. All Rights Reserved.