抵抗とは、電流の流れにくさのことです。
電線に電流を流すと、電子は導体の原子にぶつかりながら流れていきます。つまり、導体の原子は電子の流れを妨げることになります。この電子の流れを妨げる度合いを抵抗といいます。
抵抗の大きさを数値で表すときの単位はオーム[Ω]を用います。抵抗が大きくなると電流が流れにくくなります。
図1
水が流れているホースを足で踏むと、ホースの先端から出る水の量が減ります。これは、ホースを踏んだことにより、踏んだ部分の抵抗が高くなり、流れる水の量が減るためです。同じように、抵抗が高くなれば電流が流れにくくなるため、電流値が小さくなります。
抵抗に電流が流れると、熱や光を発します。豆電球や電気ストーブの発熱体は抵抗を持っていて、抵抗に電流が流れることにより発する光や熱を利用しています。
電線は電気を送るためにあるので、できるだけ抵抗を小さくする必要がありますが、ほんのわずかに抵抗があります。この抵抗によって熱が発生し、電力損失となります。
導体は、細くすると抵抗が大きくなり、太くすると抵抗が小さくなります。また、長くすると抵抗が大きくなり、短くすると抵抗が小さくなります。これは水道のホースや、ジュースを飲むストローでも同じことが言えます。
したがって、物質ごとの抵抗を比較するには同じ太さや長さで比較する必要があるため、各辺が1[m]の立方体の抵抗値である抵抗率を使用します。抵抗率の単位はオームメートル[Ω・m]です。
図2
抵抗が大きくなると電子が流れにくくなります。そのため、電気を流したくない場所には抵抗率が大きいゴムやビニールなどを使用します。一方、電線など電気をたくさん流す場所には電気が流れやすいように抵抗率が小さい銅やアルミニウムを使用します。
電線は、電流が流れる導体に抵抗率が小さい銅やアルミニウムを使用し、そのまわりに絶縁被覆という抵抗率が大きいビニールやポリエチレンのカバーをかけています。水道のホースは太くなるほど水がながれやすくなり、ホースが厚くなるほど水が漏れにくくなります。これと同じで、電線も導体が太くなるほど電流が流れやすくなり、絶縁被覆は厚くなるほど電流が外に流れ出しにくくなります。
■抵抗率の例
銀 1.6×10-18
銅 1.7×10-18
金 2.0×10-18
アルミニウム 2.7×10-18
鉄 9.8×10-18
タングステン 5.5×10-8
ビニール 1011〜1014
ポリエチレン 1011〜1015
ゴム 1011〜1016