接地抵抗は、完成時はもちろん、その後も電気設備技術基準に定められた値を維持しなければなりません。
そのため、定期的に接地抵抗を測定して確認する必要があります。
通常、接地抵抗は接地抵抗計で測定します。接地抵抗計は電圧降下法という方法で測定しています。
図1は電圧降下法の原理図です。
図1
接地抵抗測定時は、測定対象の接地極E以外に、補助極Pと補助極Cが必要になります。補助極は接地抵抗を測定する際にその都度土に打ち込む場合と、あらかじめ土中に補助極が打設されていて、接地端子盤まで配線され接続端子が設けられている場合があります。
接地抵抗計は交流電源を内蔵しており、その交流電源から接地極Eと補助極Cの間に電流を流します。すると接地極Eと補助極Pの間には交流電圧VE[V]がかかります。
接地極Eの接地抵抗RE[Ω]、交流電圧VE[V]、交流電流I[A]の間には、オームの法則により
RE=VE/I
の関係が成り立つため、接地抵抗REを測定することができます。
オームの法則で接地抵抗を測定するのであれば、図2のように接地極Eと補助極Cの2極で測定することも考えられます。
図2
しかし、図2の場合、
RE=VE/I
とすると、大きな誤差を生じます。これは補助極Cに流れる交流電流Iによって、補助極Cの接地抵抗RCにも電圧がかかっているため、接地抵抗RCもREに含まれてしまうからです。
接地抵抗測定には交流電流が使用されます。直流電流を使用すると、土中の水分で電気分解が起こり、電極に水素や酸素の泡が付着して電流が流れにくくなって抵抗が増大し、接地抵抗が大きくなる誤差を生じるためです。
接地極Eと補助極P、および補助極Pと補助極Cは、間隔が5〜10mで一直線上に並ぶようにします。これは接地抵抗の大部分が接地極付近の土中にあるためです。接地極から離れると電流が流れる部分、つまり地球の断面積が急激に大きくなるため、接地抵抗も急激に小さくなり、接地極の接地抵抗が正しく測定できるようになります。
補助極の接地抵抗ができるだけ小さい方が接地極の接地抵抗が正しく測定できますので、できるだけ湿っている土の部分に補助極を打設します。土の部分がなくコンクリートしかない場合は、コンクリート上に補助極を置き、水をかけて補助極の接地抵抗が小さくなるようにします。アスファルトは絶縁物なので、水をかけても接地抵抗が十分低い値にならないため、測定することができません。