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資格試験取得体験記
技術士2次試験(電気電子部門)口頭試験

緊張との戦い

平成22年度の技術士(電気電子部門-電気設備)2次試験口頭試験を受けました。
資格試験で口頭試験というのは初めてで、前日から緊張してしまいました。

12:00白いワイシャツに地味めなネクタイ、紺色のスーツを着て、自宅を出発。
12:10近所のレストランに入り、最後の追い込みで自分で作った資料を読みました。筆記試験問題の復習や、経歴と業績、用語や倫理問題事例の暗記を行いました。
13:50レストランを出て、駅に向かいました。
14:45試験会場の渋谷フォーラムエイトに到着。試験まで数時間あります。試験の受付を済ませ、会場内に用意された受験者控室に入りました。
受験者控室は3人がけのテーブルとイスが整然と並べられた教室形式の部屋で、300人くらい入れそうな広さでした。窓には黒いブラインドが下ろされ外が見えない状態。そこにスーツ姿の数十人の受験者が資料を読み返したり、目をつぶって集中したりと、独特な雰囲気に包まれていました。地味なスーツに白いワイシャツの方がほとんど。
私も資料を読もうと鞄から取り出したものの、緊張のあまり資料を眺めるのが精一杯。気分を落ち着けようと目をつぶってもダメでした。手は汗で濡れ、心臓がドキドキして、どうにかなりそうでした。トイレに行ったり試験室の場所を確認したりであっという間に試験開始15分前。受付時に説明されたとおり、5分前には試験室の前に設置されたイスに座り、室内からの呼び出しを待ちます。最後は3義務2責務をつぶやいて時間をつぶしました。
試験室の扉が開き、試験官の方が出てきました。
以下この試験官の方をA氏と記載します。
A:「どうぞお入り下さい。」
私:「はい、失礼致します。」
試験室に入ると、荷物を置くイスが1脚、そのすぐそばに受験者が座るイスが1脚がありました。それに対面するように2mくらい離れたところに長机があり、もう一人の試験官の方が座っていました。以下この試験官の方をB氏と記載します。
A:「荷物は手前のイスに置いて下さい。」
私:「はい。」
荷物を置いて、受験者のイスのそばに進みました。
B:「名前と受験番号を言っていただけますか?」
私:「【受験番号】【氏名】と申します。よろしくお願い致します。」
B:「はい、どうぞお掛け下さい。」
私:「失礼致します。」
B:「これから10分間で、あなたの経歴と業績について話してください。」
私:「はい。」
入社から今までの業務内容、現在の役職や立場を大まかに説明。
私:「経歴については以上でございます。」
B:「じゃあ実績をお願いします。」
私:「はい。業務1の方からご説明させて頂きます。業務1は・・・」
論文に記載した業務1と業務2について、若干の補足をしながら
(1)私の立場と役割
(2)業務を進める上での課題及び問題点
(3)私が行った技術的提案
(4)技術的成果
(5)現時点での技術的評価及び今後の展望
の順序で説明。
論文に2つ図を記載しましたので、「図1にお示ししておりますように・・・」と図を見ていただくように誘導もしました。
私:「論文については以上でございます。」
ちらっと腕時計に目を落とすと試験開始から8分くらいでした。
B:「はい、分かりました。いくつか質問します。」
経歴や論文の内容について、簡単な質問が7つくらいありました。回答に窮することもなく答えられました。質問に対する回答をして、自分の考えを短く話すという風にしました。
B:「あなたは学会には入ってる?」
私:「いいえ。」
B:「学会とかに論文を発表したことはある?」
私:「そのような経験はありません。」
B:「こんなにいいことやっているのにもったいない。あなたみたいに若い人はなるべく学会とかで論文を出してもらいたい。学会の費用は高いんだけど、入っていただくのは良いことだと思います。」
私:「はい。分かりました。」
論文に記載したのは、普段やっている電気設備工事の計画だったので、意外な指摘に驚きました。既存設備の問題点を解決するという趣旨がよかったのかなと思います。
B:「電気主任技術者をされているということだけど、何種をもっているの?」
私:「1種2種3種を持っています。」
B:「それは全部試験で取ったの?」
私:「3種は認定で取りまして、その後選任されたのですが、知識不足を感じまして、そこから2種1種は試験で取りました。」
A:「1種はどのくらいかかって受かった?」
私:「はい、5年かかりました。」
A:「それはおめでとうございます。」
私:「ありがとうございます。」
A:「1種を試験で取るのは電力会社さんくらいしかいないと思っていたから、驚きました。」
この後、また論文に関する質問が2つありました。先ほどよりも技術的な質問でしたが、難なく答えられました。
再度時計に目を落とすと試験開始から15分経過していました。
B:「今までに経験して印象に残っている仕事っていうと、なにがありますか?」
若い頃に行った省エネ関係の工事で、施工後予想通りの省エネ効果を発揮することができてうれしかったことを話しました。
B:「失敗したことはありますか?」
過去の失敗談とその後の再発防止対策について説明しました。再発防止対策は二重に講じていることをアピールしました。
B:「完璧ですね。さて、会社で技術士試験の勉強会はやっていますか?」
私:「勉強会はないです。受験費用や参考書の購入費用は申請すれば支給されます。」
B:「いい会社だね。実は、お答えの内容が訓練を受けてきた印象があるのですが、そうじゃないんですか?」
私:「いえ、そういうことはないんですが、ベテランの先輩方に技術士の方がおられまして、いろいろとご指導いただいております。」
B:「そういった縦の伝承というのが大事ですね。」
試験開始から20分を経過したところでB氏がA氏に目配せし、B氏からの質問が始まりました。
A:「これから技術者倫理について質問させていただきます。技術士法の中に技術士が負う義務責務がいくつかありますが、そのうち2つだけ項目と簡単な内容について教えてください。」
私:「公益確保ですが、環境の保全など一般大衆の方に大きく関わる部分ですので重要だと思います。また信用失墜行為の禁止ですが、「あんな奴が技術士なのか」と言われないような振る舞いが必要だと思います。」(B氏が笑いながらうなづいていた。)
A:「信用失墜行為の禁止は第何条でしょうか?」
私:「(ギクッ!)すみません、覚えておりません。」
A:「それでは、信用失墜行為が問題となりました最近の事例について2つ上げてください。」
M社のファンヒーターやP社のガス湯沸器の一酸化炭素中毒事故の概要と、その後のM社P社の対応などを説明。巨額を投じた真摯なM社の対応と、後ろ向きなP社の対応が対照的であることを説明。
A:「分かりました。技術士の責務としまして継続研鑽、CPDがありますが、その方法について教えてください。」
私:「現時点で行っていますのは、メーカーさんや技術団体の講習会に積極的に参加しています。また、技術団体のホームページにアクセスして技術情報を収集しています。」
A:「はい、私は以上です。」
試験開始から22分経過したところでA氏からの質問が終了。
B:「はい。大体終わったけれど早すぎるなぁ。あと20分くらいやらなきゃいけないんだけど・・・。じゃあ、最近統合接地というのが話題になっているけど、あなたはそういう実績ある?」
私:「はい。」
B:「その時に注意したのはどういうことですか?」
私:「地絡事故が発生した場合に、各種接地を共有している関係で非常に大きな地絡電流が流れてしまうことです。私が担当したケースでは、施工後に地絡実験を行いましたが、地絡電流が大きくなることはありませんでした。」
B:「はい。地絡事故に関連しているのはB種接地ですが、B種接地の目的は?」
私:「変圧器の高低圧混触時の低圧側電位上昇防止と、地絡継電器や漏電遮断器の確実な動作のためです。」
B:「はい。パーフェクトだね。こういう基礎的なことを聞くと困っちゃう人もいるんだよ。」
この後、B氏から国内外の電気の法律に関するお話をいただきました。質問はなく、私はこのお話に聞き入っていました。
B:「あなたはまだ若いから、どんどん外に対して刺激を与えていってください。まだちょっと早いけどいい?」
A:「どうぞどうぞ。」
B:「どうもご苦労様でした。」
私:「ありがとうございました。」

あの言葉の意味は・・・

試験時間は30分でした。
お礼を言って退室し、帰宅の途につきました。緊張していたためか、かなり疲れてしまいました。帰りの電車で、試験のやりとりを忘れないよう、細かくメモしました。すると、「あの質問にはこう答えたほうが適切だった」と後悔する部分が3つほどありました。自己採点ができないので、不安でいっぱいでした。
最後の「あなたはまだ若いから、どんどん外に対して刺激を与えていってください。」という激励は、技術士としてがんばれという意味だったのでは・・・と気になっていました。

そして口頭試験から3ヶ月たった合格発表の日。技術士会HPはAM0:00に合格発表されるとの噂を聞き、AM0:00から何度か技術士会HPを見ましたが、合格発表はUPされず・・・。
AM0:30には諦めて寝てしまいました。
ところが、AM2:00に目が覚めてしまい、再度技術士会HPを覗いてみると、合格発表がUPされていました。どうもAM0:50ころUPされたようです。
合格者リストのPDFを恐る恐る開いて確認してみると・・・

合格していました!!!

あー、よかったー。
口頭試験を受験してからの3ヶ月間、長く待ち通しかった。AM8:45には官報もUPされ、自分の名前を見つけました。

電気電子部門の2次試験(筆記試験・口頭試験)の結果は、
受験者1472名、合格者213名、合格率14.5%、
全部門では
受験者27862名、合格者4117名、合格率14.8%
でした。

夕食で祝杯。ビールがうまかったです。妻がお祝いのケーキを用意していてくれて、なんだか合格の喜びが実感できました。


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