平成25年度の技術士(総合技術監理部門)口頭試験を受けました。
平成22年に技術士(電気電子部門)口頭試験を受けていたので、比較的リラックスして試験日を迎えました。
10:00渋谷駅着。
うどん屋で食事を済ませ、フォーラム8へ。
10:30フォーラム8到着。試験の受付後、控室へ入りました。
控室は100人くらい入れるセミナールームで、6人くらいの受験者がいました。
控室で、想定問答集を読み込みました。途中でトイレに行った帰りに試験室の前を通ったら、試験室のドアのガラスから試験官が二人座っている様子が見え、ちょっと緊張しました。
試験開始5分前にトイレに行ってから、試験室の入口に置かれた椅子に座って呼ばれるのを待ちます。
試験開始時刻に試験室のドアが開き、名前を呼ばれて試験室に入りました。
試験室に入ると2脚の椅子があり、そのうちの1つに荷物を置くよう促されました。荷物を置いて着席する椅子の前に進みます。
目の前には、試験官が2人座っています。
試験室のドアを開けて名前を呼んだ試験官をA氏、もう一人をB氏とします。
A氏はおそらく技術士会の方だと思います。40代の男性でハキハキされた方でした。B氏は50代前半のコンサルか大学教授に見えました。
そういえば、青本を買いに技術士会の事務所を訪問した時に、電気電子部門の口頭試験を受けた時の試験官の方がいました。口頭試験はかならず技術士会の人が同席しているのだと思います。
私:「【受験番号】【名前】と申します。」
A:「それではいまから20分間、口頭試験を実施いたします。よろしくお願い致します。」
私:「よろしくお願い致します。」
A:「今までの業務経歴を総合技術監理における5つの分野で整理して説明してください。」
私:入社から今までの経歴、業務内容を説明。
5つの分野は
安全管理:電気設備の安全対策
経済性管理:安全対策とコストのトレードオフ調整
人的資源管理:部下の教育や労務管理
情報管理:社内ITや社内会議体の再構築
社会環境管理:省エネ対策
を説明。
説明していると、B氏がうなずいてくれている様子が視界に入り、なんだか心強かったです。
A:「複数の分野の複雑なトレードオフをどのように解決してきたか説明してください。」
私:省エネ対策工事とコストのトレードオフを解決した事例を説明。
A:「複数の分野にまたがるトレードオフをバランスとって調整しなければならない時にどういったやり方で調整しますか。」
私:「5つの管理分野で、そのプロジェクトで一番重視される管理分野はどれかを考え、トレードオフになるような事柄を洗い出してそれを解決するという手順です。」
A:「これまでに、トレードオフの調整を失敗したということはございますか。」
私:安全対策工事とコストのトレードオフの調整がうまくいかなかった事例を説明。
A:「総合技術監理の技術士を受験した動機と、取得した後の計画を教えてください。」
私:「受験した動機は、総合技術監理部門というのは業務全体を俯瞰して、コストや品質、リスク、安全管理等々を検討して、最適な計画を立案する、最適な解を導き出す能力があるという証になると思いますので、そういったことをアピールできると思い受験いたしました。取得後は社内に技術士という資格の意義を伝えていって受験者を増やしていきたいと思います。また、部下にも教育として技術士やほかの資格試験に挑戦するような機会を与えていきたいと思っております。」
A:「部下の教育にも役立てていきたいということですね。」
私:「はい。」
A氏の助け舟とも取れるコメントに素直に乗っかりました。
A:「それではあなたが総合技術監理部門の技術士としてほかの方から相談を受けたというシチュエーションを考えます。受験申込書に記入した業務経歴の内容について、経済性管理の面からどのようなアドバイスをしますか。」
私:コストをどのように節約するかを説明。
A:「それでは社会環境管理の面からどのようなアドバイスしますか。」
私:廃棄物削減や省エネについて説明。
A:「複数部門にわたってトレードオフが発生するようなところはありますか。」
私:環境対策とコストのトレードオフについて説明。
A:「なにか質問があればお願いします。」
そういってB氏にバトンタッチしました。
B:「環境対策は、法的規制を満たせば十分ということですか。それともなにか基準を持っていますか。」
私:「いくらかけたらいくらロスが減るので、何年で回収できるというような経済計算で仕様を決めます。」
B:「電気工事に関する法令や規格はたくさんありますが、漏れなく適合させるためにどういう工夫をしていますか。」
私:「自らチェックしたり、専門業者との協議や社内の専門部署にチェックしてもらい網羅性を確保するようにしております。」
B:「最近地震の後の通電火災が話題になっていますが、どのように考えていますか。」
阪神淡路大震災や東日本大震災の後は話題になっていましたが、最近はそこまで話題になっていないような気が・・・。
私:「法令や社内規定に則って点検を実施していますが、事故事例を参考に点検内容の見直しも必要だと思います。」
B:「もし、あなたが電気設備で法的に問題がある危険個所を見つけたら、所有者にどのように改善提案しますか。」
私:「もし事故が起きたらこういう被害が起きますよという話をして理解を得ることになります。」
B:「コスト的にできませんと言われたらどうやって理解を得ますか。」
ちょっとB氏の語気が強くなってきたのを感じました。
私:「対策を講じなかった場合の影響を電気の知識がない人にもわかるように伝えていくことになると思います。」
B:「んー、わかりました。最近地震があって復帰したときに通電して火災になるようなケースが話題になっていますが、こうしなければいけないというような提案はどうされていますか。」
また通電火災です。B氏は通電火災について研究しているような感じです。
私:「地震でということですか。」
B:「地震に限らず、これまで対策が取られていなかったものについて、所有者にご理解を得るためにはどうしますか。」
私:「やはり事故事例を参考にしながら対策を説明するような形で進めます。」
B:「地震が起きたときにブレーカーが切れるような設備になっていますか。」
地震でブレーカーが落ちる設備は正直見たことがありません。
私:「なっていません。」
B:「わかりました。」
B氏がA氏に質問終了の目配せをしました。
A:「業務経歴の中で電気設備の工事を担当されていますが、これは案件ごとに中身はだいぶ違うものなのでしょうか。」
時間つぶしとも取れるような質問にちょっと戸惑ってしまいました。
私:「はい、大小様々な規模の電気工事を担当しています。」
A:「わかりました。よろしいでしょうか。」
B:「はい。」
A:「それでは以上で口頭試験を終了させていただきます。どうもお疲れ様でした。」
私:「ありがとうございました。」
試験開始から17分間で終了しました。
A氏はさかんに口頭試験マニュアルと思しき資料のページをめくりながら質問されていました。A氏の質問の内容は総合技術監理に関するものばかりなので、やはり技術士会の方でしょう。一方B氏は、ちょっと質問の意図がわからないことが多々ありました。電気の技術的な部分も質問されたので、電気の専門家のようでした。お二人とも私の回答を聞いてちょこちょこメモを取っている様子でした。回答を聞いて加点ポイントを記録しているような印象でした。
電気電子部門の口頭試験の時と比べ、淡白というかマニュアル通りというか、淡々と質疑されました。
もしかすると、経験論文や筆記試験の論文の内容がイマイチなので落とす前提なのでは?と疑ってしまいます。
試験が終わり、フォーラム8を出ると歩行者天国でにぎわっていました。
帰りの電車で質疑応答の内容を忘れないようにメモしました。
合格発表の3月3日。
日本技術士会のホームページで合格発表を確認。
自分の受験番号がありました!
2回目の受験でなんとか合格することができました。