図1
図1の抵抗RとインダクタンスLの直列回路で、t=0でスイッチを投入した場合の電流を求めます。
キルヒホッフの法則により、微分方程式
Ri+Ldi/dt=E
が成り立ちます。この微分方程式を変数分離します。
Ldi/dt=E-Ri
di/dt=(E-Ri)/L
dt={L/(E-Ri)}di
両辺を積分します。
∫dt=∫{L/(E-Ri)}di
t=L∫{1/(E-Ri)}di
∫(1/x)dx=log xより、x=(E-Ri)として置換積分をすると、
t=L log (E-Ri)×(-1/R)+k
=-L/R log (E-Ri)+k
となります。kは積分定数です。
この式を整理すると、
t-k=-L/R log (E-Ri)
(-R/L)(t-k)=log (E-Ri)
Y=log X は、X=εYという意味ですので、
E-Ri=ε(-R/L)(t-k)
=ε(-R/L)t × ε(-R/L)(-k)
となります。
ε(-R/L)(-k)=Kと置くと、
E-Ri=Kε(-R/L)t ・・・@
t=0でスイッチを投入したので、t=0でi=0となります。これを代入すると、
E-R×0=Kε(-R/L)×0
E=K
よって@式は
E-Ri=Eε(-R/L)t
-Ri=Eε(-R/L)t-E
i=-Eε(-R/L)t/R+E/R
=E/R{1-ε(-R/L)t} ・・・A
となります。
電流は、 A式のように
i=E/R{1-ε(-R/L)t}
と求められました。A式は
i=E/R-E/R{ε(-R/L)t} ・・・B
と変換できます。
E/Rの部分は定常項といい、-E/R{ε(-R/L)t}の部分は過渡項といいます。
定常項は時間の変化に関係なく一定であり、過渡項は時間の変化によって変化する部分です。
過渡項に着目すると、t=0のとき過渡項は
-E/R{ε(-R/L)t}=-E/Rε0
=-E/R
となり、B式は
i=E/R-E/R
=0
となります。t=0でスイッチを投入しましたので、スイッチを入れた瞬間の電流は0となります。
逆にt=∞のときは、
-E/R{ε(-R/L)t}=-E/Rε-∞
=0
となり、B式は
i=E/R-0
=E/R
となります。t=∞、つまりスイッチを投入後長時間経つと電流はE/Rとなり、定常状態になります。