電線に交流電流を流すと、電流は電線の表面近くを流れ、電線の中心部は流れにくくなります。これを表皮効果といいます。
電線に交流電流を流すと。右ねじの法則に従って時計回りの磁束が発生します。電流を
i=√2Isinωt
とすると、磁束は
φ=B(t)S
=√2BSsinωt
となります。
この磁束は電線に渦電流を発生させますが、この渦電流はレンツの法則により、電線の中心を電流が流れる方向と逆向きに流れ、電線の表面付近では電流が流れる方向と同一方向に流れます。
このため、電線の中心ほど電流が流れにくくなり、電流の表面ほど電流が流れることになります。
周波数が高くなるほど渦電流は大きくなり、表皮効果も顕著になります。
電線は、太くなるほど表皮効果の影響を考慮する必要があります。
送電線に用いられる鋼心アルミより線は、電線の中央に鋼線、その周囲にアルミ線を巻いてあります。
鋼線はアルミ線より抵抗が大きいのですが、表皮効果を考慮すれば電線の中心にある鋼線よりも、その周囲のアルミ線に電流が流れます。よって鋼線は電線の中心に配置されているわけです。
表皮効果を防止したい場合は、リッツ線という電線を用いることもあります。リッツ線はエナメルで絶縁された電線を複数本より合わせて作られており、表皮効果が起きにくくなっています。