遮断器は平常状態及び短絡・過電流・地絡状態の電路を投入・遮断できる装置です。遮断器の2次側で短絡・過電流・地絡が発生したときに電路を保護するために、過電流継電器や地絡継電器など保護継電器と組み合わせたり、過電流や地絡を検出する装置を内蔵しています。よってもっとも深刻である3相短絡事故が発生したときにも故障電流を遮断できる能力が必要です。
油入遮断器は、遮断部分が油の入ったタンクの中に設置された遮断器です。遮断時に発生するアークによって油が水素などに分解され、水素ガスによる冷却作用によって消弧します。
真空遮断器は、遮断部分が高真空に保たれた容器内に設置された遮断器です。遮断時に発生するアークの金属蒸気を、高真空によって拡散し消弧します。
ガス遮断器は、遮断部分がSF6ガスが充填された密閉容器内に設置された遮断器です。遮断時に発生するアークに絶縁性能・消弧性能が高いSF6ガスを吹き付けて消弧します。近年大幅に普及している遮断器です。
磁気遮断器は、遮断部分が磁気を発生するコイルや鉄心に囲まれた遮断器です。遮断時に発生するアークにコイルで発生させた磁界を作用させ、フレミング左手の法則によりアークを広げて消弧室に押し込み、消弧室内の障壁によって裁断・冷却して消弧します。
空気遮断器は、遮断部分が圧縮空気が噴出すノズルの前に設置された遮断器です。遮断時に発生するアークにコンプレッサによって圧縮された圧縮空気を吹付け、アーク熱やイオンを拡散させて高気圧の高い絶縁耐力を利用して消弧します。遮断器本体とコンプレッサが必要なので設置スペースをとることから、近年の新設受変電設備には用いられなくなってきています。
気中遮断器は、遮断部分が空気中に設置された遮断器です。遮断時に発生するアークを、遮断される電流によって作られた磁界によって消弧室に押し込み、消弧室内の障壁によって裁断・冷却して消弧します。低圧(交流600V、直流500V以下)に用いられます。
配線用遮断器は、低圧(交流600V、直流500V以下)回路に用いられ、消弧室内の障壁によって裁断・冷却して消弧する遮断器です。
漏電遮断器は、配線遮断器に地絡検出装置を組み込み、過電流や短絡に加えて漏電が発生した際にも電流を遮断する遮断器や、過電流や短絡では遮断せず漏電が発生したときのみ電流を遮断する遮断器です。
漏電アラーム付遮断器は、配線用遮断器に地絡検出装置を組み込み、過電流や短絡の際には電流を遮断し、漏電が発生した際は警報を出力する遮断器です。
単3中性線欠相保護付遮断器は、配線遮断器に中性線過電圧検出装置を組み込み、過電流や短絡に加えて中性線が欠相が発生した際にも電流を遮断する遮断器です。
遮断器が自動遮断することをトリップといいます。トリップする動作は事故の様相によって異なります。
電路の許容電流値をこえて電流が流れ続けると電路が過熱し火災の原因となります。それを防止するため電路が危険な温度に達する前に電路を遮断する動作を時延動作といいます。動作するまでの時間は過電流の大きさによって変化します。
電路や負荷で短絡が発生すると極端に大きい電流が流れます。この電流を瞬時に遮断する動作を瞬時動作といいます。動作するまでの時間は0.1秒以下です。
漏電事故を検知し除去する主たる目的により、瞬時動作若しくは時延動作を選択して設置します。目的が感電防止であれば瞬時動作、火災防止であれば瞬時動作か時延動作を選択します。
時延動作は、負荷電流を遮断器に内蔵されたヒーターに流し、過電流が流れ続けた場合にヒーターによって加熱されたバイメタルが曲がる力を利用してトリップさせます。瞬時動作は、遮断器内の負荷電流が流れる導体に短絡電流が流れると発生する磁力を利用し、トリップさせます。
瞬時動作、時延動作とも磁力を利用した方式です。
過電流の検出や演算、制御、引きはずし指令などの機能が電子回路によって行われる方式です。
高圧から低圧に変圧する変圧器の1次側には高圧交流負荷開閉器(LBS)という開閉器がよく使用されています。この高圧交流負荷開閉器というのは一般的に変圧器の1次側電源の開閉に用いますので負荷電流を遮断するため、消弧室という装置がついています。また過電流や短絡電流を遮断するためにパワーヒューズ(PF)を搭載しています。このヒューズは単相の場合は2本、3相の場合は3本取り付けられ、ある一定の値以上の電流が流れると、負荷電流を遮断します。ヒューズが1本でも溶断すると開閉機構が動作し3極とも同時開放する仕組みになっています。これはヒューズの端部にストライカという棒が入っており、ヒューズが切れるとこのストライカがヒューズの外に突き出すような構造になっていて、ストライカが高圧交流負荷開閉器のリンク機構を押して3極開放をさせるというものです。
よって高圧交流負荷開閉器の2次側で短絡が発生したとすると、
短絡発生
→ヒューズが溶断
→電流が遮断され短絡事故が消滅
→開閉機構が開放
という動作になります。
高圧交流負荷開閉器には、主接点と速切りブレードという2つの接点があります。負荷電流の通電は主接点で行い、負荷遮断時は主接点が開放したのちにバネを利用した速切りブレードが高速で開放し、消弧室内でアークを遮断します。
GCB同様、遮断部分がSF6ガスが充填された密閉容器内に設置された遮断器です。6.6kVの地中引込をしている需要家の引込部分に設置されます。地絡事故を検出して遮断しますが、短絡事故は開閉器のため遮断できません。短絡が短絡が発生すると、上位遮断器である電力会社の遮断器がトリップし無電圧になった後にUGSが開放します。電力会社の遮断器はその後自動再送電となりますが、事故が発生している需要家のUGSは既に開放されているため、送電が継続できる状態になります。
断路器とは定格電圧で充電された電路を開閉分離するために用いられる開閉器です。ディスコンとも呼ばれます。消弧能力がないので、短いケーブルの充電電流・計器用変成器の電流の開閉を超える負荷電流の開閉はできません。一般に断路器は遮断器の1次側に設置され、点検整備等で遮断器開放中に誤って遮断器が投入されても送電されない状態に保つために使用されます。また遮断器自体の整備のため、断路器を開くこともあります。
断路器は電流を遮断できませんので、負荷電流が流れている状態では絶対に開いてはいけません。負荷電流が流れている状態で断路器を開くことを「断路器の生切り」といいます。この生切りをすると、負荷電流が遮断できずアーク放電を発生し、機器に損傷を与えるばかりか、操作者にアーク放電が接して人身事故となる場合があります。かならず断路器の直上若しくは直下の遮断器が開いていることを確認して負荷電流が流れていない状態で操作しましょう。また断路器を開く際は「二段操作」で行います。二段操作とは、一気に断路器を開いてしまうのではなく、少し開いたところで一旦止めてアーク放電が発生しないことを確認してから開ききるというものです。遮断器を開いたつもりが開いていなかったなどのミスがあった場合、断路器を一気に開いてしまうと大きなアーク放電が発生してしまうからです。
最近では負荷電流が流れているときに断路器を操作できないようにインターロックを掛けられる断路器がよく使われています。これは直上若しくは直下の遮断器が開いているときのみ断路器が操作できるような仕組みになっています。しかし必ず直上若しくは直下の遮断器が開いていて負荷電流が流れていないことを確認してから断路器を操作しましょう