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力率と皮相・有効・無効電力

交流の電力は3種類ある

交流の電力は皮相電力・有効電力・無効電力の3種類があります。
この3種類の電力の違いについて説明します。

有効電力

交流の負荷には、主に抵抗、コイル、コンデンサの要素があります。
交流の電源に抵抗の負荷を接続すると、抵抗が電力を消費して熱を出します。
このように抵抗で消費される電力のように、負荷で消費されて仕事をする電力を有効電力といいます。
有効電力の単位はワット[W]を用います。

無効電力

交流の電源にコイルやコンデンサの負荷を接続すると、電力が電源から負荷に送られたり、負荷から電源に戻ったりを繰り返します。
電力が電源から負荷に送られているときは、コイルは磁気エネルギーを、コンデンサは静電エネルギーを蓄えています。反対に、電力を負荷から電源に戻しているときは、コイルやコンデンサは蓄えたエネルギーを電源に電力として返送している状態です。
このように、電源と負荷を行ったり来たりするだけで、負荷で消費されない電力を無効電力といいます。
無効電力の単位はバール[var]を用います。

皮相電力

「皮相」という言葉には、「見かけ、表面、うわべ、うわっつら」という意味があり、皮相電力とは「見かけの電力」という意味になります。
直流の電力は直流電圧×直流電流で求めることができます。同じように、交流電圧×交流電流で求めたものが皮相電力です。
例えば交流の電圧が100[V]で、電流が10[A]流れていても、有効電力なのか、無効電力なのかは判断できません。
すべてが有効電力であれば、
100[V]×10[A]=1000[W]
となりますし、すべてが無効電力であれば、
100[V]×10[A]=1000[var]
となります。
皮相電力は有効電力か無効電力かを考えず、単純に交流電圧の大きさと交流電流の大きさだけで交流電力を求めます。これが「見かけの電力」と呼ばれる所以です。
皮相電力の単位はボルトアンペア[VA]を用います。
図1

グラフで見る有効電力と無効電力

図2は、抵抗に交流電圧をかけたときの電流と電力を表したグラフです。
図2

電力は常にプラスになっています。電力は電源から負荷の方向に送られている時にプラスになるので、電力が常に電源から負荷に送られていることがわかります。
図3はコンデンサやコイルに交流電圧をかけたときの電流と電力を表したグラフです。
図3


電力がプラスになったりマイナスになったり交互に繰り返しています。プラスの時は電源から負荷へ、マイナスの時は負荷から電源へ電力が送られていることになります。したがって、電力が消費されずに電源と負荷を行き来していることになります。

有効電力・無効電力・皮相電力の直角三角形

有効電力・無効電力・皮相電力の大きさをベクトル図で表すと図4のようになります。
図4

有効電力・無効電力・皮相電力の大きさは必ずこの直角三角形の関係になります。
例えば、交流の電圧が100[V]で、電流が5[A]流れている場合、皮相電力Sは
S=100[V]×5[A]=500[VA]
となります。
仮に有効電力が400[W]だった場合、この直角三角形の3辺の比は3:4:5になりますので、無効電力は図5のとおり300[var]となります。
図5

力率・無効率とは

皮相電力に対する有効電力の割合を力率といい、
力率=有効電力/皮相電力
で求められます。つまり、力率とは皮相電力のうち、負荷で消費されて仕事をする電力の割合となります。
また、皮相電力に対する無効電力の割合を無効率といい、
無効率=無効電力/皮相電力
で求められます。

有効電力、無効電力の求め方

単相の場合は、
皮相電力S=VI[VA]
有効電力P=VIcosθ[W]
無効電力Q=VIsinθ[Var]
となります。

三相の場合は、
皮相電力S=√3VI[VA]
有効電力P=√3VIcosθ[W]
無効電力Q=√3VIsinθ[Var]
となります。


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