なぜ日本の電力会社は交流を採用しているのでしょう。
直流は交流に比べて計算も簡単だし、周期的に+-が入れ替わることもなくて、一見扱いやすそうに見えます。しかし直流にはできないことが交流でできるのです。
仮に電線の抵抗が1Ωだとします。
電流をI、電線往復分の抵抗をRとおくと、送電損失Pは
P=I2R
で求められます。つまり、送電損失は電流の2乗に比例して変化します。
よって同じ電力を送電する場合、高電圧低電流で送電した方が低電圧大電流よりも送電損失が少なくなるということです。そのため日本では高電圧送電を行っています。送電距離が長距離であればあるほど電圧を上げ、電力損失を減らしているのです。
電気は、福島県の発電所から高電圧で東京の変電所に送り、変電所で電圧を下げて配電し、さらに家の近くの電柱の上で電圧を100Vに下げて、家に引き込んでコンセントにたどり着きます。この電圧を下げたり上げたりするには変圧器が使用されます。変圧器は交流では使用できますが、直流では使用できません。
直流モーターは、ブラシと整流子がつきものです。整流子はモーターが回転している間、ブラシと摩擦しています。そのため定期的に清掃や交換が必要というメンテナンス上の問題があります。それに対して交流モーターの代表格である誘導電動機はブラシや整流子が必要ありません。よってメンテナンス上交流モーターが便利なのです。
このように、交流はエネルギーとして運びやすく、使いやすいのです。