零相電流とI0r・I0c
零相電流とは
零相電流はI0(アイゼロ)と表し、交流回路で各線に流れる電流を合計した電流のことです。
交流回路は、単相2線、単相3線、三相3線、三相4線などがありますが、いずれも健全なときは各線に流れる電流のベクトル和を求めると0になります。
これは、電源から電路を通じて負荷に流れた電流は、負荷から電路を通じて電源に戻るため、打ち消しあって0になるからです。
ただし、電路の何処かで漏電が発生すると、電流が電源から負荷の間の電路以外に流れるため、零相電流は0にならず、漏れ電流と同じになります。
I0rとI0cとは
漏れ電流I0(アイゼロ)は抵抗分漏れ電流I0r(アイゼロアール)と、静電容量分漏れ電流I0c(アイゼロシー)に分解することができます。

抵抗分漏れ電流I0r
抵抗分漏れ電流はI0r(アイゼロアール)と表し、零相電流のうち抵抗分に流れる漏れ電流です。I0rは、電路の絶縁抵抗が低下することによって大地に流れ、電源電圧と同相になります。
静電容量分漏れ電流I0c
静電容量分漏れ電流I0cは、電路と大地の間の浮遊静電容量を通じて流れる漏れ電流です。浮遊静電容量は正常な電路にも存在します。静電容量C、周波数f、インピーダンスZの間にはZ=1/2πfCの関係があるため、静電容量が大きくなるほど、電圧の周波数が高くなるほど、インピーダンスが小さくなり、電流が多く流れるようになります。そのため、長い電路で浮遊静電容量が大きく、高調波の影響で電圧波形が歪んでいるとI0cが増大します。
I0とI0rとI0cの関係
の関係があります。
漏れ電流を測定して電路の絶縁状態を点検するとき、単相2線では2線を、単相3線や三相3線では3線を一括してクランプ電流計でクランプして漏れ電流を測定しますが、この方法で測定したときの測定値はI0であるため、I0cの影響により電路の絶縁の良し悪しを判断することができません。
そこで、漏れ電流I0から、静電容量分漏れ電流I0cを差し引き、電路の絶縁劣化により流れる抵抗分漏れ電流I0rを把握することで、その電路の絶縁の状態をより正確に把握できることになります。
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