電気力線とは、実在はしないのですが、電気の力を視覚的に表現することで、電界の様子をわかりやすくしてくれるものです。
図1は正電荷のまわりの電気力線の様子です。
図1
正電荷からは電気力線が出ていて、負電荷には電気力線が入っていると考えます。
+1[C]の正電荷からは1/ε[本]の電気力線が出ますので、+q[本]の正電荷からはq/ε[本]の電気力線が出ています。
ここで出てくるεは誘電率といい、物質の電荷のたまりやすさを表す数値で、物質によって値が異なります。例えば
真空の誘電率ε0=8.854×10-12
空気 約1
水 約60
となります。
図2は負電荷のまわりの電気力線の様子です。
図2
-1[C]の負電荷には1/ε[本]の電気力線が入りますので、-q[C]の負電荷にはq/ε[本]の電気力線が入っています。
正電荷と負電荷があると、電気力線は図3のようになります。
図3
電気力線は下記のような特徴があります。
電束とは、電気力線と同様のもので、実在はしません。
電束と電気力線で異なるのは、下記の点です。
電気力線の単位は[本]ですが、電束の単位は電荷と同じクーロン[C]を用います。
この単位だといまいちわかりにくいので、クーロン[C]をたば[束]に置き換えて考えるとわかりやすいです。
電気力線の本数は誘電率εによって変化しますが、電束は誘電率εの影響を受けません。
したがって、異なる誘電率の物質の境界を通過する場合、電気力線は増減しますが、電束は増減しません。
つまり、電気力線をε[本]束ねたものが電束となります。