励磁突入電流
変圧器を投入したときに大きな電流が流れる場合がある
遮断器やLBSを投入して変圧器を電源と接続すると、定格電流の数倍から数十倍の大きな電流が流れる場合があります。この電流を励磁突入電流、またはインラッシュ電流といいます。
励磁突入電流によって、過電流継電器が作動したり、ヒューズが切れたりすることがあります。
電圧が0を通過するときに投入すると励磁突入電流が大きくなる
変圧器はコイルなので、電圧の位相に対して電流の位相が90°遅れます。したがって、電圧の瞬時値が0を通過するときに電流の瞬時値は最大となります。そのため、電圧の瞬時値が0を通過するときに変圧器が投入されると励磁突入電流が最大になります。
残留磁束の影響
変圧器の1次側の遮断器を開放すると変圧器に流れる電流が遮断されますが、完全に電流が止まるのは電流が0を通過するときになります。したがって、電流が完全に止まるまでは開極された遮断器の極間はアーク放電し電流が流れ続けることになります。
変圧器に流れる電流が0を通過するときに止まった後も変圧器の鉄心には磁束が残っています。これを残留磁束といいます。
図1

図1は変圧器の電圧と磁束の関係を表したグラフです。
電流によって発生する発生磁束は電流の瞬時値に比例しますので、緑の線の通りになります。しかし、鉄心に残留磁束が残っていると、発生磁束+残留磁束の磁束が鉄心の中を通ります。
鉄心の磁束はある一定の値で飽和し、それ以上増加することができなくなります。発生磁束+残留磁束の値が鉄心の磁束が飽和する飽和磁束を超えると、鉄心の磁束は一定の値で飽和し、磁束が変化しなくなります。変圧器の1次巻線は鉄心の磁束が一定になるとリアクタンスが著しく減少して大きな電流が流れます。これが励磁突入電流となります。
その後、発生磁束+残留磁束の値が飽和磁束を下回ると、磁束飽和が終了し再度磁束が現象する方向に変化します。すると変圧器の1次巻線のリアクタンスが復活し、大きな電流が流れなくなります。
その後、励磁突入電流は回路のインピーダンスによって減衰し定常状態になっていきます。
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