蛍光灯は、管内に水銀蒸気とアルゴンガス・クリプトン・ネオンなどの不活性ガスの混合気体が充填されています。そして管の内壁には蛍光物質が塗布してあります。図1は蛍光灯の基本構造です。
図1
電極に加熱電流という電流を流し、電極の温度を高めます。電極が加熱された状態で、両電極間に高電圧を印加すると混合気体中を電流が流れる放電が発生します。放電により電極から飛び出した熱電子は水銀原子と衝突します。このとき熱電子と水銀原子との間でエネルギーの授受が行われ、水銀原子は紫外線を放出します。管の内壁の蛍光物質は、この紫外線が放射されると可視光を放射する性質がありますので、照明として発光します。
蛍光灯は、放電が開始されると電子の衝突で高温になり、さらに放電しやすくなります。また、放電による発熱で水銀の蒸気圧が高まります。すると電流が増加していきますが、安定した放電を続ける最適な電流値に保つのが安定器の役割です。
安定器には、磁気漏れ変圧器型や、インバーター型があります。
インバーター型は商用周波数である50・60Hzを45000Hzの高周波にして、蛍光灯内にたくさんの電子を高速で放出させますので、明るくちらつきの少ない発光をもたらします。
蛍光灯の点灯方式にはスタータ型とラピッドスタート型があります。
あらかじめ電極を加熱してから放電を行う方式です。スイッチを入れるとグロースタータ(点灯管)若しくは電子点灯管と呼ばれるスタータによって始動を開始します。すると蛍光灯の両電極に電流が流れ加熱します。
グロースタータの放電部は固定電極とバイメタルがあり、バイメタルは温度によって形状が変化する金属を使用しています。スタータ内の放電による熱でバイメタルが固定電極にくっついて、スタータ内の放電が止まります。これによりバイメタルが冷えてきて、固定電極との接点が開きます。そのとき安定器で大きな電圧が発生しその電圧で蛍光灯内に放電が始まります。
ラピッドスタート型安定器を使用し、グロースタータや電子点灯管が不要な方式です。ラピッドスタート型専用の蛍光灯を使用します。この蛍光灯は始動補助のため、管内若しくは管外に放電開始を促す導電性の物質が塗布されており、この物質と安定器の制御により点灯します。始動補助方式は、内面導電被膜方式、外面ストライプ方式、外面シリコン方式があります。スタータ型に比べ、スイッチONから点灯までが早く、始動時の点滅が少ないという特徴があります。
電子式・Hf・インバータ式とも呼ばれる方式です。点灯および安定放電のために電源周波数を高周波に変換しています。比較的効率が高く省エネルギーで、低騒音・ランプのちらつきが感じられないという特徴があります。スタータや大きな安定器が不要なので、照明器具が小型かつ軽量になります。