電流を開閉した際に生じる異常電圧を開閉サージといいます。誘導性または容量性の小電流を開閉するときに発生しやすいため、無負荷の送電線や変圧器、コンデンサなどの開閉時に発生します。
容量性小電流とは無負荷の送電線などに流れる進み力率の小電流です。電圧より90°進んでいる小電流を遮断すると、電流が0[A]になったときに遮断が完了します。電流の位相が電圧より90°進んでいるので、電流が0[A]ということは電圧は+か-の最大値の状態で遮断されます。遮断器の2次側の静電容量は、この最大値の電圧で充電されたまま遮断されることになります。
仮に+の最大値で遮断されたとすると、遮断器1次側の電源電圧は遮断から1/2サイクル後に-の最大値になりますので、遮断器の1次2次の極間には、2次側の静電容量に充電された+の最大値の電圧と、1次側の-の最大値の電圧の差の電位差がかかることになります。極間の絶縁耐力が不十分であると、この極間の電位差により放電することがあり、これを再点弧といいます。再点弧が発生すると、遮断器の1次と2次に異常電圧がかかります。
誘導性小電流とは無負荷の変圧器などに流れる遅れ力率の小電流で、電圧より90°遅れている小電流です。
電流を0[A]になっていない時点で遮断してしまうことがあります。これを電流裁断現象といいます。誘導性小電流を0[A]になっていない時点で遮断すると、負荷側のインダクタンスにより異常電圧を発生します。この電圧は
e=-L di/dt
で表され、負荷側のインダクタンスが大きいほど、裁断される電流が大きいほど大きな異常電圧が発生することになります。