日本では静岡県の富士川から新潟県の糸魚川あたりを境にして、東側が50Hz、西側が60Hzの交流が使用されています。これは意図があって分けたわけではありません。原因は電力事業が始まった明治時代に遡ります。
当時、電力会社は発電機を海外から輸入していました。東日本地域の電力会社はドイツから、西日本地域の電力会社はアメリカから発電機を輸入していたのです。ドイツは50[Hz]、アメリカは60[Hz]を採用していたため、日本は輸入先の違いから東西で周波数が異なってしまったわけです。その後電力事業の発展とともに、国内の周波数を統一しようと検討されてきましたが、コスト面で実現できずにいます。発電所改修コスト以外にもコストが掛かります。パソコンは周波数切替スイッチがあって、50[Hz]と60[Hz]両方に対応できますが、ポンプやタイマーなど50[Hz]仕様、60[Hz]仕様と分かれている負荷設備があるため交換コストが掛かります。
電力会社間には「融通電力需給契約」という契約があります。これは電力会社各社間で締結されるもので、発電所の事故等により電力の不足が発生した場合、電力会社間で不足電力を補って停電に至らないようにするという目的があります。しかし東西で周波数が異なっているので、電力を融通するためには周波数を合わせる必要があります。周波数を変換し融通できるようにするのです。その周波数を変換する設備を周波数変換装置と呼びますが、静岡県と長野県にある2か所の周波数変換所に設置され東西の電力融通を行っています。
周波数変換装置には損失がありますので、やはり周波数は国内で統一したほうが便利であることには変わりありません。