平成23年に建築設備士第2次試験を受けました。
毎年、事前に設計製図の課題が発表されます。今回のテーマは
「映画館と温浴施設のある複合商業施設」
です。映画館も温浴施設も普段の仕事に関わりのない施設なので正直戸惑いました。
1次試験で手ごたえを感じていたので、1次試験後すぐに日本設備設計事務所協会、空気調和・衛生工学会、電気設備学会が主催する「建築設備士」第二次試験受験準備講習会の申込み手続きをし、受講しました。この講習会で、映画館と温浴施設の電源容量、各種機械室面積などの原単位を教わり、試験で非常に役に立ちました。設計製図の課題が慣れているテーマであれば受講不要ですが、慣れていないテーマの場合は受講したほうがよいと思います。
2次試験は、論説10問と選択科目の問題です。電気は例年下記の選択問題が多く出題されています。
◯受変電設備や消防設備の容量を記入する機器表
◯照明計算と照明、感知器、非常照明、非常放送スピーカー、コンセントの製図
◯単線結線図
また、各科目共通問題として下記も出題されます。
◯トイレ等の換気設備の製図
◯トイレ等の衛生設備の製図
◯事務室等の照明、感知器、非常照明、非常放送スピーカー、空調設備の製図
試験は5時間半で休憩なし、試験中は飲食可、トイレ可ですが、実際は時間が足りないため食事をしながら解答を進め、トイレは最小限にする必要があります。
試験問題はB4縦、解答用紙はA2横という慣れていないサイズです。解答用紙は厚紙で、書いて消してを繰り返しても破けないようになっています。
解答用紙は、
(1)共通科目
(2)空調
(3)衛生
(4)電気
の4枚あり、選択した科目以外の解答用紙は、下書きや計算用紙として使ってよいと説明文が書いてありました。
試験開始の合図とともに、設計課題の確認をしました。
問題用紙の1ページに設計課題と計画条件が記載されています。
設計課題は「映画館と温浴施設のある複合商業施設」です。
計画条件には
1.建築物概要
用途・面積・構造・階数など。
2.使用条件
階ごとの主要室・最大人員・床面積など。
3.建築設備
空調・給排水・電気設備の方式・台数・仕様など。
4.都市施設等
周囲の電力・電話・都市ガス・上下水道の状況。
が記載されています。ポイントになりそうな部分を蛍光ペンでマーキングします。
次に2ページから6ページに記載されている建築基本設計図の確認です。
配置図・各階平面図・断面図があります。
この時点では、さらっと目を通す程度です。
問題用紙の確認が終了し、必須問題の10問に着手します。
必須問題は「こういう設備の設計をするときの要点をいくつか述べよ」という問いがほとんどなので、問題が要求している解答を網羅しつつ、出来るだけ解答欄を埋めるようにしました。
解答には、「建築設備士」第二次試験受験準備講習会のテキストで勉強した内容が役に立ちました。
必須問題が終わると次は選択問題です。私は電気を選択しました。
選択問題は4問構成です。
第1問は受変電設備・非常用発電設備・自動火災報知設備(受信機)の機器表の作成です。受電点の短絡容量や改善前後の力率などが与えられます。今回の試験から、単相負荷・三相負荷の単位床面積当たりの容量が与えられるようになりました。以前は自分で設定するようになっていたのでややこしかったのですが、与えられるようになり楽になりました。
第2問は単線結線図の作成です。UGS1次側端子以降の単線結線図を作成します。
第3問はレストランの電気設備の計画です。
(1)は照明器具台数を求める問題です。
与えられた設計照度・照明器具仕様から照明器具の算定表を作成します。
問題用紙に室指数に対する照明率の表が載っています。
(2)は平面図に全般照明の照明設備、非常用の照明設備、自動火災報知設備、非常放送設備、コンセント設備を配置する問題です。
図記号の凡例表も作成します。
第4問は計画図の作成です。
(1)は地階設備室配置計画図の作成です。
解答用紙の地階平面図に空調熱源設備室、空気調和機設備室、飲料水設備室、雑用水設備室、受変電設備室、非常用自家発電設備室、コージェネレーション設備室を配置します。各室の広さは、問題用紙1ページの計画条件から計画します。
問題にはあまったスペースは倉庫とするように指示があります。
(2)はトイレの換気設備ダクト図の作成、トイレの給排水設備配管図の作成、事務室の空調設備配管図、照明・非常照明・自動火災報知設備・非常放送設備の配置図の作成です。
図記号の凡例は問題で与えられていたので助かりました。
試験時間はぎりぎりで、持ち込んだ昼食のパンは解答用紙の記入をしながら食べ、図面はほとんどフリーハンドで書きました。
試験後に見直しをしたら、無窓居室のレストランに熱感知器を設置したり、受変電設備の短絡容量計算を間違えたり、たくさんミスをしていることに気がつきました。
マークシートではないので自己採点ができず、不安を抱えたまま合格発表の日を迎えましたが、建築技術教育普及センターのホームページで、無事合格していることを確認しました。