受変電設備には、いろいろな継電器が設置されています。
過電流継電器・地絡継電器・不足電圧継電器など、これらの継電器は電気設備の安全を守るために機能しています。
継電器が動作すると、その信号が遮断器に送られ遮断器がトリップしたり、警報装置に送られ警報が発報するようになっています。
過電流継電器は、保護対象の電路に過電流が流れた場合に動作し、遮断器の開放や警報発報を行います。
過電流は、過負荷時の場合と、電路に短絡が発生した場合に分けられます。
地絡継電器は、電路や機器に地絡が発生した場合に動作し、遮断器の開放や警報発報を行います。
地絡の原因には、電路や機器の絶縁劣化や、電路と小動物・植物の接触などがあります。
地絡継電器は、電路の零相電流を測定し、設定値以上になった場合に動作します。
地絡方向継電器は地絡継電器同様、電路や機器に地絡が発生した場合に動作し、遮断器の開放や警報発報を行います。
地絡継電器では、隣接する他の需要家の地絡事故の影響で動作してしまう場合があります。
図1
図1はA需要家で地絡が発生した場合の図です。
A需要家のZCT以降の電路で地絡が発生していますので、当然A需要家の地絡継電器は動作します。そして、地絡電流が大地と対地静電容量を通じてB需要家の電路に侵入します。その侵入した電流はB需要家のZCTを通過しますので、B需要家の地絡継電器も動作してしまいます。地絡継電器が動作すると遮断器がトリップし停電しますので、A需要家とB需要家は停電します。B需要家は電路に異常がないのに停電してしまうことになります。これをもらい事故といいます。
これを防止するために地絡方向継電器が作られました。
地絡方向継電器は、漏洩電流の大きさとともに、対地電圧と漏洩電流の位相を検出し、@漏洩電流が電源から負荷側へ流れているのか、A負荷側から電源へ流れているのかを判別し、@の場合のみ動作します。
不足電圧継電器は、停電や事故による電圧低下が発生した場合に動作し、遮断器の開放や警報発報を行います。
過電圧継電器は、発電機の故障などによる電圧上昇が発生した場合に動作し、遮断器の開放や警報発報を行います。
いづれも、異常な電圧を電路や電気機器に印加するのを防止する目的があります。