電柱の電線に鳥がとまっているのをよく見かけます。通勤の時、駅で電車に電気を供給する架線にカラスがとまっているのを見たことがあります。
鳥は電線にとまっても、感電することはありません。道路で見かける電線は銅の導体の周りを絶縁物で被覆していますので感電しないと思いがちですが、実は電線が裸線でも鳥は感電しません。
図1は、電線に鳥がとまっている図です。
3本の線は3相6600[V]を配電している電線(裸線)で、そのうちの1本ににわとりがとまっています。
(実際はにわとりは電線にとまれませんが・・・)
図1
図1を図2の回路図に直します。
図2
Iaは電線を流れる電流です。
分流の法則で考えると、にわとりを流れる電流Icは、
Ic={R/(R+X)}Ia[A] ・・・@
で表されます。
電線の抵抗Rはにわとりの左足と右足の間の電線の抵抗ですので、限りなく小さい0[Ω]に近い値です。
にわとりの抵抗は、計ったことがありませんのでわかりませんが、仮に100[Ω]とします。
@に代入すると、
Ic={R/(R+X)}Ia={0/(0+100)}Ia=0[A]
となります。
Icが0[A]ということは、にわとりには電流が流れていない状態、つまりにわとりは感電しないことになります。
電柱の電線は、絶縁被覆された電線を使用しています。
絶縁電線だから感電しないと思いがちですが、仮に絶縁被覆されていない導体むきだしの電線でも、上記の理由により鳥は感電しません。
鉄塔の高圧送電線は絶縁被覆されていませんが、鳥が感電することはありません。
電線1本ににわとりがとまっても感電しませんが、2本にとまったら感電します。図3では、3本の線は3相6600[V]を配電している電線(裸線)で、そのうちの1本ににわとりがとまっています。
図3
図3を図4の回路図に直します。
にわとりの左足と右足には6600[V]の交流電圧がかかっています。にわとりの抵抗を1000[Ω]とすると、にわとりに流れる電流Iはオームの法則より、
I=V/X=6600/1000=6.6[A]
となり電流が流れます。
電流が流れるということはにわとりは感電します。
つまり、鳥は両足の電位差が0であれば感電しないということになります。これは人間も一緒です。人間が地面に立って、電圧がかかっているところを手で触ると感電するのは、地面と手の電位差によって電流が流れるからです。